他人の監視に抵抗ないの? 直木賞作家が驚く『Zenly』の普及率 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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他人の監視に抵抗ないの? 直木賞作家が驚く『Zenly』の普及率

連載「出たとこ勝負」

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黒川博行週刊朝日#黒川博行
黒川博行(くろかわ・ひろゆき)/1949年生まれ、大阪府在住。86年に「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞、96年に「カウント・プラン」で日本推理作家協会賞、2014年に『破門』で直木賞。放し飼いにしているオカメインコのマキをこよなく愛する (写真=朝日新聞社)

黒川博行(くろかわ・ひろゆき)/1949年生まれ、大阪府在住。86年に「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞、96年に「カウント・プラン」で日本推理作家協会賞、2014年に『破門』で直木賞。放し飼いにしているオカメインコのマキをこよなく愛する (写真=朝日新聞社)

※写真はイメージです (Getty Images)

※写真はイメージです (Getty Images)

 ギャンブル好きで知られる直木賞作家・黒川博行氏の連載『出たとこ勝負』。最近、黒川氏は位置情報共有アプリ『Zenly(ゼンリー)』を知ったという。

* * *
 某週刊誌を読んでいて、『Zenly』とかいうものを知った。登録している仲間たちに自分のいるところをリアルタイムで教えられるスマホの位置情報共有アプリで、これを使っているひとが24パーセントもいる(ほんまかい、と思うが、その週刊誌によるとそうなのだ)という。

 わたしは驚いた。そこまで他人とつながりたいのか。いくら相手が知り合いとはいえ、そこまで自分のプライバシーをさらけ出すことに疑問はないのか。たえず自分を監視している複数の他人がいることに抵抗はないのか。

 がしかし、24パーセントだ。四人にひとりがこのアプリを使っているらしい。スマホもガラケーも持っていないわたしには信じられない事象がいまの日本に出来(しゅったい)しているのだ。

 よめはんに週刊誌を読ませた。「こんなこと、信じられるか」「ありえへん」と、短い首を振る。 

「これって、一種のスマホ依存症やと思うわ」
「というより、おれらのそういう考え方が世の中から取り残されてるんとちがうんか」
「それでいいやんか。ピヨコは取り残されるんがいやなん?」
「ちょっとはいややな。世捨て人やないんやから」
「ほな、スマホを持ちなさい」
「いらん、いらん。電話がかかってくる」
「わたしだけが番号を知ってたらいいやんか」
「それはまぁ、そうかもしれませんけど……」
「持ちなさい、スマホ。いっしょにドコモショップへ行ったげるから」
「ご親切、痛み入ります」 

 藪(やぶ)をつついて蛇を出した。よめはんは以前から、わたしにスマホを持てという。なにが狙いか分からないが、持ったら最後、フェイスブックやLINEはおろか、ゼンリーをダウンロードせよ、といいかねない。君子危うきに近寄らず、触らぬ神に祟(たた)りなし、だ。 


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