今年7月の参院選で妻の河井案里参院議員に公選法違反疑惑が浮上し、法相を辞任した河井克行衆院議員。その河井夫妻に対し、東京都の男性が11月6日、公選法違反容疑などで広島地検に告発状を出したことが本誌の調べでわかった。
疑惑が事件化する可能性が高まり、案里氏の連座制に発展するのか、注目されている。週刊文春などの報道によると、案里氏は参院選でウグイス嬢に日当3万円を支払っていたという。公選法では、日当の上限は1万5千円と定められているが、公選法を逃れようと、ウグイス嬢に領収書を2枚に分けるなどの偽装工作をした「運動員買収」の疑い。また、案里氏の事務所には「裏帳簿」が存在したとも報じられている。
告発状には、案里氏の夫、克行氏に対しても<本件違反行為への関与(案里氏との)共謀の有無、程度も十全の捜査を強く要望>と記されている。広島の自民党関係者はこう打ち明ける。
「河井陣営が、法定の金額を超えて、ウグイス嬢に払っていたのは、知られていた。事務所の仕切りは実質的に克行氏がやっておったけん、夫婦で違反じゃろ。自民党の現職がいるところに官邸主導で妻を押し込んだ克行氏は地元で恨みを買っていた。夫婦で国会議員の議席を夫婦で独占だなんて、やりすぎ。おまけに克行氏は法相の座についていた。そのしっぺ返しだよ」
13年7月の参院選では実際にウグイス買収事件で連座制が適用されている。比例区選出の元参院議員の元秘書が、ウグイス嬢1人に3万円の日当を支払った疑いで、同年9月に逮捕され、懲役1年6月執行猶予5年の判決が確定。元議員は「知らなかった」と主張したが、翌年4月に連座制適用の判決が下された。
案里氏を告発した男性はこう話す。
「法定より高く報酬を払っているのは、明らかに違反行為。おまけに、克行氏は法相の座についている。法を守るようにと国民をお願いする人物に疑惑が浮上。被疑者は案里氏だが、克行氏に対しても厳正な捜査をしてほしいと、告発した」
告発の行方が注目される。(本誌取材班)
※週刊朝日オンライン限定記事