「本当にいいタイミングですし、一生に1回のチャンス。出場できればこの上ないうれしさがある」

 身長173センチ、体重67キロの久保は、体格的に恵まれているわけではない。それでも、長友を教えたトレーナーの元で体幹を鍛えることで、激しく体をぶつけられても、簡単に倒れない体の強さが、ここへきて備わってきた。

 原則23歳以下で構成される五輪代表チーム。そこに選ばれることさえ「飛び級」だが、久保はさらに飛び越え、年齢制限のないA代表にも入っている。9月から始まった22年ワールドカップ(W杯)カタール大会に向けたアジア2次予選のメンバーにも続けて選出。9月にヤンゴンであったミャンマー戦では、W杯予選で日本代表史上最年少出場を果たした。

 五輪チームは、A代表監督を兼任する森保一監督が指揮する。順当にいけば五輪代表入りは確実だが、出場には別の障害が立ちはだかる。

 五輪に選手を派遣するかどうかは、各クラブの協力次第。日本は過去に、主力選手を五輪直前で招集できなかった苦い経験もある。

 欧州のサッカー界では、五輪は重視されていない。もし、久保が来夏以降に所属するクラブで主力の扱いを受けていれば、日本の五輪代表として招集できないかもしれない。久保は現在、レアル・マドリードから、同じスペイン1部リーグのマジョルカに1年の期限付きで移籍中。来季の所属先は未定だ。

 久保は「最年少」というキーワードで取り上げられる度に、自身のサッカー観について、こう語ってきた。

「自分の年齢的に、史上何番目だとか、結構そういう話になるが、大事なのは、始まりじゃない。早くデビューする人もいれば、大学に行って大学でしっかり磨きをかけてからデビューする選手もいる。サッカー選手を終えるときに、どのような位置にいるか。そこを大切にしたい」

 久保にとって、通過点とも言える東京五輪。来年の夏、そのピッチに立っているのか。東京五輪のサッカー男子は、メンバー発表の時点から目が離せない。(朝日新聞社スポーツ部・勝見壮史)

週刊朝日  2019年11月15日号