辞表を提出後、記者の質問に答える菅原一秀経産相 (c)朝日新聞社
辞表を提出後、記者の質問に答える菅原一秀経産相 (c)朝日新聞社

 菅原一秀経済産業相(57)が10月25日、公設秘書が地元有権者に香典を渡し、公職選挙法が禁じる寄付をしていた疑惑で辞任した。

 菅原氏は菅偉義官房長官の側近中の側近で、菅氏を支持する無派閥議員が立ち上げた「令和の会」のまとめ役。9月の改造内閣では、菅氏が安倍晋三首相に推薦したとされる。

 菅原氏はかねて周囲に、

「菅さんとうちの両親は、同じ秋田の湯沢高校出身。菅さんがいるから6期16年間、無派閥でやってこられた」などと語っていた。

 やっと射止めた大臣の座だったが、最初からフライング気味と批判を浴びた。安倍首相からの内示を人事の発令前に、

「安倍さんから直々にお電話をいただいた。『経産大臣ね』とおおせつかった」

 などと、ブログや街頭演説で喜びいさんで報告したからだ。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏が、今回の辞任劇の舞台裏を明かす。

「(2009年8月に)週刊朝日が報じた第1弾は、06~07年に菅原氏の事務所がカニ、メロンなどを選挙区内の有権者に贈っていたという疑惑でした。週刊文春の第2弾は、17日の地元有権者の通夜で、公設秘書が2万円の香典を渡したという疑惑。有権者への贈答が今も続いているということになると、官邸はもう守りきれないとなりました」

 あとは辞任のタイミング。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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