図書館で何冊も読むうちにマケドニアから援兵があったことがわかった。では、彼らは大王の居所をどうやって知ったのか? また本で調べると駅伝制度があったことがわかった。

「なぜそうなったのかを自分で考え、腹に落として理解してきた。物語として納得すると忘れないんです」

 高校時代はドストエフスキーなどの文学を読んだ。大学に入学すると同級生は高校のときからマルクス、レーニンを読んでいた。

「読んだことないの?と言われて、くやしいじゃないですか。すぐに生協で買いました。面白くてヘーゲル、カントと時代をさかのぼり、結局プラトンまで読み進みました。わからないときは友だちの下宿に行って議論していましたね」

 当時の蓄積が知識のベースだ。現在も週3冊は読む。最初の5ページでワクワクする本を選ぶそうだ。

「この本がこれからの社会をよくするヒントになれば最高。フランシス・ベーコンの名言通り、知識は力になりますから」

(仲宇佐ゆり)

週刊朝日  2019年10月18日号