気になる人物の1週間に着目する「この人の1 週間」。初回は俳優の野村周平さん。今年の5月末、語学留学のためにニューヨークに渡り、主演映画「WALKING MAN」のプロモーションで3カ月ぶりに帰国した。なぜ彼は、25歳で留学しようと思ったのか。常に自由を希求する彼の“英語学習法”も独特だ。
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今、日本の20代若手俳優は1993~94年生まれに、菅田将暉さんを筆頭に竹内涼真さん、吉沢亮さん、山崎賢人さんなど主役クラスの才能が集中している。彼も黄金世代の一人だが、その中では、何かと誤解されやすい人である。SNSを始めたのが5年前。楽しげな日常生活の写真をアップしたり、世の中に対する疑問や怒りが湧き上がった時は、その思いを、自分なりの言葉で呟いたりもした。
「ある時、たばこを吸っている写真をアップしたら、『イメージが悪くなるから吸わないでほしい』というコメントが、あちこちから届いたことがあったんです(苦笑)。共演者とのツーショットを載せれば、『付き合ってるの?』『自慢してるの?』って質問されたりもします。そんな時、僕は、『別に悪いことをしているわけじゃないのに、何でこんなに干渉されちゃうんだろう?』って思うわけですよ。ありのままをさらけ出して壊れるようなイメージなら、最初からいらないので……」
素の自分を発信できるSNSは、ファンと直接つながれるツールだが、その分、余計な詮索をされることもあれば、品行方正な態度を求められることもある。もともと裏表がなく、取り繕うことを嫌う彼の場合、「自由に自分を発信できる場」であるSNSによって、不自由な状況を強いられることが増えてきていた。
俳優としてのデビューは2010年。その2年後、NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」で注目されたのは、18歳の時だった。
2年前に、大ヒットした「帝一の國」という映画で彼にインタビューした時、「10代の頃、菅田くんたちと一緒に学園ドラマに出演した時、出番はものすごく少ないのに、何度も何度も怒られて、悔しい思いをしたことがありました。その時に感じた『絶対に売れて見返してやる!』っていう気持ちが、モチベーションになったかもしれない」と話してくれたことがある。そんなエピソードも、悔しい思い出のほんの一部に過ぎないのだろう。その時に学生役で共演した俳優は、今はほとんど残っていないらしい。順風満帆に見える若手俳優でも、生き残れたのには理由があるのだ。