※写真はイメージ(gettyimages)
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もしものときのためのメモ(週刊朝日 2019年10月11日号より)
もしものときのためのメモ(週刊朝日 2019年10月11日号より)

 もしも親が自分がこの世を去ったら……何の準備もせずにいると困るのは残された家族だ。遺族のためにいまからできることを、ファイナンシャルプランナーの森田悦子さんが取材した。

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「死後、遺族が行う一連の手続きは『情報戦』です。故人が生前にほんの少しの情報を残しておくかどうか、それだけで遺族の負担は天と地ほども違ってきます」

 と話すのは、相続・終活コンサルタントの明石久美さんだ。

 たとえば病院で亡くなると、暗に早く出ていくよう急かされるため、まずは葬儀社に連絡して搬送してもらわないといけなくなる。

「葬儀社と打ち合わせするにしても、葬儀の内容について、矢継ぎ早に聞かれるのを皮切りに、その後はもう決めることとやることが山のように押し寄せてきます。相続手続きにしても、故人しかわからない情報や物を探して把握しなければなりません。本人が少しでも情報を残してさえくれれば遺族はどれだけ助かるかわかりません」

 残された家族をラクにしてやれる終活について、項目別にみていこう。

■【財産】まずは金融機関名だけリストアップしておく

 資産は遺族が最も“捜索”に苦労するもののひとつだ。生前に取引のあった金融機関や、契約のある保険会社を一覧にしておくだけで、残された家族の負担は激減する。

 かといって、具体的な資産額まで子に知られてしまうと、あてにされてしまう心配もある。終活に詳しいファイナンシャルプランナーの高橋佳良子さんは、「まずは社名だけリストアップすれば大丈夫」と話す。

「60代~70代前半のうちは詳細を知らせる必要はありません。ただ、介護が必要になると使えるお金がいくらあるかは家族にとって重要な情報です。70代後半になったら残高を書き加えたり、資産額は別の場所に書き留めていざというときにその場所を知らせる方法も」

 通帳類や年金、税関係などの書類をバラバラに保管していると、遺族はそれを探し出すのに苦労するので、1カ所にまとめておくことも重要だ。また、タンス預金は死後に見つけられないまま処分されてしまう可能性があるので注意したい。

 ただし、盗難などに備え、キャッシュカードの暗証番号は書き残さない。同じ理由で印鑑も通帳とは別の場所に保管し、保管場所は口頭で伝えておく。

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