さらに火炎瓶を投げつけると、警官隊は車で退散。気が付くと、私のメガネの一部は、デモ隊や警官隊との接触でかけてしまった。それほど、すさまじい衝突が続く香港。この日も午後から夜遅くまで10時間以上、断続的に衝突が続いた。

警官隊が「本気」を出し、催涙弾、ペッパースプレー、放水などで応戦すると、デモ隊はひととまりもない。中国政府が香港に隣接する、広東省に武装警察や軍を集結させていると報道されている。だが、そんな必要はないほど、警察隊のパワーはすさまじい。

 香港はイギリスから返還された時、一国二制度の堅持が約束されおり、今でも「自由」が根幹に根付く、香港。デモ隊を見ていると、20歳前後の若い世代が多い。中国への抗議のため、真っ黒の服、マスク姿でカップルで参加していた、李さんに話を聞いた。

「中国は香港の自由を保障したはず。それが嘘だとわかった。香港人を守る警察は中国のいいなり。5年前の雨傘革命は制圧されて終わってしまった。今回は雨傘革命の経験、反省もある。絶対に負けない」

 雨傘革命の時の指導的立場にいた、日本語に堪能な周庭さんはこう言う。

「一国二制度と中国は約束した。しかし、それがまったくのウソ。
だから、今もデモが続くのです」

 デモ隊が集結する、繁華街には「中国建国70年祝賀」と記されたネオンがきらめく。中国の「一部」と化する香港。それを拒む市民。混乱は、終わりそうにない。(今西憲之)

【動画】緊迫した現地の様子を緊急リポート!
・現地ルポ1
https://youtu.be/FkuJ77x2lNY
・現地ルポ2
https://youtu.be/NBm77aNWevE
・現地ルポ3
https://youtu.be/qMa-ybQ4d5s

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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