テレビショッピングを展開する会社は、QVCジャパンのような専門の会社は自社でCS放送のチャンネルを持っていたり、ジャパネットたかたのようにテレビ局に流してもらう番組を自社で作ったり、フジサンケイグループ傘下のディノス・セシールのように、大手民放が番組を作っている場合もある。それだけ各社、番組を重視しているということ。単に商品を紹介するだけでなく、見て楽しい番組を目指しているのだろう。

 コンテンツの魅力が増せば、普通のテレビ番組と同じように、番組やその出演者にファンがつくことも。業界動向や消費者行動に詳しい通販評論家の村山らむねさんは、テレビショッピング利用者は、番組の司会者など出演者のファンになる人が多いことを指摘する。あるテレビショッピングでは、年間数百万円など一定金額以上購入した視聴者を集めてパーティーを開いている。こうしたファンの集いを開催すると、番組出演者の前には行列ができているという。

「番組出演者と定期的に会い、商品を超えた家族的なつながりができます。誰々さんが私のために手に入れてくれた商品なので買うというデパートの外商顧客にも似ているところがあります。いわば、つながり買いです」(村山さん)

 商品説明のわかりやすさもテレビショッピングのポイント。番組では、その商品をどのように使うのか実演し、商品の使用前後でその効果を映像で見せることが多い。店舗だと陳列された商品を客が見て使い方を想像するだけなのと違い、使い勝手がどのようにいいのか、具体的にどういったシーンで役立つのか、使用感覚までも映像と言葉で視聴者にわかりやすく示してくれる。調理器具がいい例だろう。

 電話だけで注文できるというのもシニア層にはメリットだ。テレビショッピングの利用者には中高年の女性が多いが、インターネットの通販を使えない高齢者も一定数いる。商店まで公共交通機関がない人には、テレビを見ながら自宅で購入できるのは便利だ。

 また、宮坂さんによると、テレビショッピングの商品はネットで扱っていないものも多く、オリジナル商品もある。家電製品なら型番を特別にしたり、特別のセット販売にしたりすることもあり、番組でしか買えないことも利用者にとっては魅力になっている。(本誌・浅井秀樹)

※週刊朝日 2019年9月20日号より抜粋