今回はかつてない強風が吹き荒れた。気象庁によると、千葉市中央区で9日午前4時28分に最大瞬間風速57・5メートルとなり、観測史上1位となった。ほかにも東京都大田区で午前3時27分に43・2メートル、神奈川県三浦市で午前1時33分に41・7メートルと、観測史上1位を記録した。

 台風は毎年、九州・沖縄や四国などに上陸し被害を与えているが、こうした地方では公共施設などで対策が進んでいる。一般住宅でも、強風に耐えられるシャッターやテレビアンテナ、飛びにくい瓦などを取りつけているところが多い。

 これに対し、台風が直撃することが少ない首都圏では、対策が十分とはいえないところもある。都内のアパートに住む男性は、9日未明からテレビが見られなくなったという。

「防災情報を見ようとしたら映らず困りました。強風でアンテナが壊れて受信できなくなったようです。都内でこんな風が吹くとは思ってもいませんでした」

 今回は各地で街路樹が倒壊し、車や歩行者の移動を妨げた。数が多いため撤去作業には時間がかかる。しばらくは、歩道を歩く際にも注意が必要だ。

 東京都建設局によると、都が管理する街路樹は約65万本に上る。
「木の状況は定期的にチェックして、弱っているものは撤去しています。枝葉が茂りすぎているものは切って、倒れないように管理しています。ただ、根がどこまで張っているかは見ただけではわかりません。強い風が吹くとどうしても倒れてくるものが出てきます」(同局担当者)

 土砂崩れなどで通行止めとなり、復旧まで数日以上かかるところも複数ある。飛んできた物に当たったり、転倒したりする被害も出ている。東京都世田谷区では、強風にあおられて頭を打った50代の女性が亡くなった。

 大きな爪痕を首都圏に残した台風15号。被害を教訓に、改めて災害への備えが求められる。(本誌・多田敏男)

※週刊朝日オンライン限定記事