韓国側はもともと日本とのGSOMIA締結に消極的だった。本来、12年に締結することになっていたが、署名の1時間前に延期を通知して日本側を驚かせた。軍事評論家の前田哲男氏がこう説明する。

「韓国世論の反対が強かったのです。GSOMIAを結べば、日本の自衛隊と物品や役務を提供し合うACSAにつながる。そうすると、朝鮮半島有事になった場合に自衛隊が韓国に入ってくることになる。日本の軍事的再進出が根っこにあるから認めるわけにはいかないということです。日本のメディアも、軍事機密漏洩防止のGSOMIAを07年に米国と締結したときは、知る権利の侵害ということで批判的だったのに、今回はずいぶんトーンがちがうなという印象です」

 GSOMIAの解消はむしろよかったにしても、日韓間の対立は深刻。元徴用工など歴史認識に端を発した問題に対し、経済面にまで拡大したのはやはり安倍“害”交というほかない。韓国では日本製品不買運動が過熱し、韓国インバウンドの激減で日本全国から悲鳴が上がる。結局、国益を損ねただけである。(本誌・亀井洋志)

週刊朝日  2019年9月13日号