韓国の文在寅大統領 (c)朝日新聞社
韓国の文在寅大統領 (c)朝日新聞社

 韓国政府が8月22日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)の破棄を決めたことで、日韓間の対立は泥沼化している。

 29日も文在寅大統領は、日本が輸出管理で優遇措置を取る「ホワイト国」から除外したことに不満を述べ、「歴史問題に経済問題を絡めたのは明らか。率直でない態度だ」と批判のトーンを上げた。破棄が日本の輸出規制強化への対抗措置であることが鮮明化した。

 GSOMIAは国同士で軍事上の機密情報を提供し合う際、第三国への漏洩を防ぐために結ぶ協定。日本は韓国と2016年に締結し、日韓ともに米国など複数国と結んでいる。

 北朝鮮がミサイル発射を繰り返す中で、北東アジアの安保環境に支障が出るとの指摘もあるが、軍事ジャーナリストの田岡俊次氏はこう語る。

「北朝鮮のミサイル発射や落下地点などに関する情報は、米軍経由で情報交換できるからさほど問題はない。日韓GSOMIAが締結された3年前の状況に戻るだけです。韓国の軍事力の増強は著しく、空軍の戦闘機数ははるかに自衛隊を上回る。日本全域に届く『玄武3C』巡航ミサイルも多数配備している。日本を“仮想敵国”とすることで、韓国海・空軍は予算を獲得してきた。GSOMIAは同盟の第一歩だが、公然と日本を敵視しながら同盟がうまくいくはずがなかった」

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