小林綾子「『おしん』が教えてくれたお金で買えない大切なもの」

2019/08/15 07:00

「おしん」の思い出を語る小林綾子(提供写真)
「おしん」の思い出を語る小林綾子(提供写真)

 NHK「朝ドラ」は放送中の「なつぞら」で100作目。昭和の名作「おしん」に出演した女優・小林綾子が、10歳のときに体験した「おしん」の日々を振り返る。

【写真】可愛い!「おしん」時代の小林綾子がこちら

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「おしん」に出演したのは、10歳の時でした。大役をいただいたのは初めてでしたので、オーディションに受かった時は純粋に「うれしい!」という喜びがとても大きかったですね。

 驚いたのは、台本のセリフの多さでした。台本6冊と山形弁の方言テープを渡されて、「とにかくセリフだけはちゃんと覚えてきてください」と言われ、母と二人三脚で、いただいたその日からセリフを覚える作業が始まりました。セリフだけでなく、方言もあるので、イントネーションも自分で記号を作って覚えて。どうして女の子が『オレ』っていうのかなと思ったりしましたけど(笑)。

「おしん」は、やっぱり橋田先生の脚本の素晴らしさが大きいと感じます。とにかくドラマチックで、毎回、え、その続きどうなるの?っていうのが続くストーリー展開。子供のときはそこまでは分からない部分もあったんですけど、生きていくうえでとても大事なメッセージがたくさんちりばめられていて、しかも教訓めいてるわけではなく、セリフを通して、先生の思いが込められてるドラマなんだなというのをあらためて感じます。

 私の出番は前半の6週間。反響が出始めたのがたしか5月の連休のころでした。普通の小学生でしたし、自分の中では何も変わっていないのに、道を歩いてるだけで、「おしんだ、おしんだ」と指さされるようになり、戸惑ったこともありました。

 学校にまでマスコミの方が来たりするようになったんですよ。大きな望遠レンズで撮られたこともありました。ランドセルを背負ってるところを撮りたかったみたいで。黒い車が通ってカシャカシャってのが聞こえて、びっくりしました(笑)。(友達や先生は)全然変わりなく接してくれて普通に過ごせたのはよかったですね。

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時代や国境を超える普遍的な作品

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