こうした芸人たちを取り込むような動きもあるなか、厳しい姿勢も見せつけている。

 吉本は7月26日にホームページで、契約解消の処分にした宮迫博之について言及。岡本社長は会見で宮迫の処分撤回と復帰を呼びかけていたが、それを取りやめる可能性を示唆したのだ。

 宮迫は写真週刊誌「フライデー」の報道で、金塊窃盗事件で有罪判決を受けている男と飲食店で同席し、写真撮影した問題が浮上している。この件で、吉本側のヒアリングに対し宮迫は、「絶対に受け取っていない。2000%受け取ってない」と主張しているという。それでも複数のメディアで、金銭を受け取っていたとの報道がなされているとして、吉本は次のように説明した。

「『反社会的勢力主催パーティ参加の真偽確認』の際にも、宮迫氏より虚偽報告を受けていることから、どちらを信じていいのか、困惑しております。万一にも、一部報道が事実であれば、先日、会見の場で発表させて頂いたマネジメント契約解消の撤回についても、再度検討せざるを得ない状況です」

 吉本はこれまで、「フライデー」などの報道について積極的に事実関係を明らかにせず、事実上スルーしてきた。今回はあえて報道を根拠に、「契約解消の撤回の撤回」をちらつかせることで、岡本社長に不利な爆弾発言をした宮迫側を揺さぶる狙いがありそうだ。

 実際、吉本興業の関係者はこう明かす。

「会長や社長の辞任は1億パーセントない。宮迫が吉本に戻ることも1億パーセントない」

 このままでは経営陣は変わらず、問題もスッキリ決着しないまま、グダグダが続きそうだ。私たちにとって本当に笑える吉本が復活する日はいつになるのだろうか。(本誌・太田サトル、上田耕司、池田正史、多田敏男)

※週刊朝日オンライン限定記事

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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