「犯行声明を書いた時点で、やまゆり園で決行することを決めていた。犯行声明を書いて、議長公邸に行き手紙を渡そうとして、とにかく、最後までやらなきゃいけないと必死になっていた」

 こう振り返る植松被告。

 多くの場合、いくらそう決意しても最後は踏みとどまるものだ。だが、植松被告は一線を超え、決行してしまった。

「犯行の朝、やるぞというか、やまゆり園のガラスを割って侵入しようとした時、何かのスイッチが入って、現実とは違う世界に吸い込まれて、事件を起こした。達成感とまではいかないが、思い描いていたことはやりました」

 植松被告には弁護士、マスコミ関係者だけではなく、障がい者を持つ保護者らも面会に来ているという。

 だが、事件に対し、彼から「反省」「謝罪」という言葉は聞けなかった。来年1月から横浜地裁で植松被告の裁判員裁判がスタートする。

 公判で同じ主張をするのかと植松被告に筆者が問うと素っ気なくこう答えた。

「法廷で特に言いたいことはありません。考えのすべてはマスコミの人にこうやって話し、伝わっていると思う」

 その一方で拘置所生活が長くなり、「やっぱりキツイと思う」と愚痴った。植松被告から「謝罪の念」の言葉が発せられる日は来るのだろうか?

(今西憲之)

※週刊朝日オンライン限定記事

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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