ただ、健康増進型保険の知名度はまだ低いといえる。

 2016年6月に販売を開始した健康年齢少額短期保険の大橋宏次社長は「(販売に)苦戦している」と本音を漏らす。同社の保険は1年更新で1年後に健康年齢が若くなっていれば、保険料はさらに安くなる。少額短期保険だから、保険料は月々数百円からと、かなり安い。

「最近は大手も参入してきたが、どこも思ったほど伸びていないと聞く。従来なかった新しいタイプの商品であり、マーケットに浸透するにはまだ時間がかかるのではないか。自分の健康年齢を知りたいという人は多いはず。当社のサイトで健康年齢を調べることができるが、その先の契約にまではつながらない」

 都内保険ショップの相談員は次のように話す。

「住友生命のバイタリティ、発売当初、住生の担当者が熱心に説明していったが、我々がその熱量についていけなかった。お客さんもピンとこない様子だった。実務的には、ウェアラブル端末を含めて説明するのが大変。大手はずっと続けてきた保険料の格安競争から離れたかったのではないか」

 別のショップの相談員はこう言う。

「東京海上日動あんしん生命の『あるく保険』は、1日平均8千歩以上歩くのを2年間続けるのは大変そうという声も多い。2年後にもらえる健康増進還付金もモチベーションにするには少ないという意見もある」

 あるく保険は、主契約である既存の保険商品に「健康増進特約」を付けることで「あるく保険」になる。還付金の額は加入する保険の種類によって変わってくるため一言で提示することはできないのだが、月々支払っている保険料の1カ月分程度とイメージするといいかもしれない。

 東京海上日動あんしん生命企画部の担当者に手ごたえを聞いたところ、個別商品の販売状況は回答できないとしつつも、「本商品はお客様を生活習慣病などの重篤な疾病から未然にお守りできる商品であり、将来は、こうした健康増進型保険のマーケットが拡大すると考えています」と話す。

 健康増進型はお得な保険なのか。総合保険代理店ファイナンシャルアソシエイツの藤井泰輔代表はこう指摘する。

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