「大手生保の商品は、元々の保険料が高すぎるので、健康増進型で保険料が2~3割安くなったり還付金が支払われたりしても、割安感はまったくない」

 中高年齢層で第一生命や住友生命、明治安田生命の保険に入っている人の多くは、かなり昔に契約した商品だろう。そういう保険商品には健康増進特約を付加することはできない仕組みなので、これから健康維持・改善して保険料を安くしようと思ってもできない。もし、現在入っている保険だけでは不安だという人ならば、保険料の安い少額短期保険がおすすめだ。

 ファイナンシャルプランナーの高野具子氏は健康増進型のニーズについてこう話す。

「例えば、肥満でたばこを吸うけど何かやらなきゃとモヤモヤしているような人には背中を押してくれる商品になる。保険会社にとっては、日常的に健康維持の努力をしている人のほうが保険金支払いリスクは低い。死亡リスクが低ければ、それだけ長く保険料を払い続けてもらえる」

 現時点で健康状態が良好な人の場合、健康状態をさらに改善するのは大変な場合もある。住生の「バイタリティ」や、ネオファースト生命「ネオde健康エール」などのように、契約後に健康状態が悪化すると保険料が高くなる商品もあるので注意が必要だ。

 加入を検討している人へのおすすめを聞くと、藤井氏と高野氏の2人とも損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の収入保障保険「リンククロスじぶんと家族のお守り」で意見が一致した。

 この商品の「健康チャレンジ制度」では、喫煙の有無と健康状態で契約時に保険料が決まり、その後も健康改善の結果次第で、契約時にさかのぼって祝い金が受け取れる。藤井氏は「低金利の今は保険で貯蓄できる商品はなく、働けなくなったときにサポートしてもらえる収入保障保険は合理的」と言う。

 健康増進型を検討する場合、将来的に健康維持のモチベーションが続くのかどうか吟味する必要がある。その保険が自分と家族にとって本当に必要なものかどうかが決断のポイントだ。(ライター・横山渉)

週刊朝日  2019年7月12日号