4月19日、東京・池袋の交差点で衝突、横転したごみ収集車。後方は大破した乗用車 (c)朝日新聞社
4月19日、東京・池袋の交差点で衝突、横転したごみ収集車。後方は大破した乗用車 (c)朝日新聞社
高齢運転者による近年の主な事故(年齢は当時) (週刊朝日2019年6月21日号より) 
高齢運転者による近年の主な事故(年齢は当時) (週刊朝日2019年6月21日号より) 
安全運転診断レポートのサンプルの一部 (東京海上日動火災保険提供)
安全運転診断レポートのサンプルの一部 (東京海上日動火災保険提供)

 今年4月、東京・池袋で87歳男性の運転する乗用車が100キロ近いスピードで暴走。自転車の母子2人が死亡し、10人が負傷した事故は記憶に新しい。6月にも、大阪、福岡、名古屋で高齢運転者による暴走が相次いでいる。

【高齢運転者による近年の主な事故はこちら】

 交通事故は全体的には減少傾向なのに、高齢者による事故は高止まりしている。統計上も高齢者の暴走が裏付けられているのだ。

 警察庁によると、75歳以上の運転者による死亡事故は2018年は460件で、前年より42件増えた。免許人口10万人当たりの死亡事故件数は8.2で、75歳未満の約2.4倍にもなる。

 事故の原因としては、ブレーキとアクセルの踏み間違いといった運転操作の誤りが目立つ。防ぐ方法はないのだろうか。

 モータージャーナリストの岩貞るみこさんは、こう指摘する。

「最初は抵抗があるかと思いますが、まずは『指さし確認』が効果的です」

 シフトレバーは「ドライブ」に入っているか、ペダルは踏み間違えていないか、そして左右の確認。それぞれ指さし確認をすることが事故防止につながるという。例えば、コンビニエンスストアの駐車場での発進などの際に有効だ。走行中も確認の意識は持っていたい。

 いちいちそんなことをするのは恥ずかしい、という人もいるかもしれない。だが、岩貞さんによれば、高齢ドライバーが事故を起こす大きな要因は「過信」だという。

「18年度の警察庁の調査で、死亡事故を起こした高齢ドライバーの8割以上が、過去3年の間、無事故無違反だとする統計があります。『自分は大丈夫』『自分は運転がうまい』と思う人ほど、大事故につながりやすいといえます」

 そして、高齢になれば当然、視力、視野も低下する。特に視野が狭くなる緑内障は、40代以上の日本人の20人に1人が罹患(りかん)しているともいわれる。

「緑内障は無自覚の人が多い。気づかぬうちに視野が欠損していて、歩道から飛び出す人が見えなかったり、信号機を見落としたりということが考えられます」(岩貞さん)

 製薬会社のファイザーが40歳以上1万人超のドライバーに行った意識調査(18年4月)によれば、自身が緑内障である可能性について「あると思う」はたったの1%。視力を気にする人に対して、視野を気にすると回答した人は3分の1以下だった。運転を続けるなら、視力だけでなく、視野の検査も欠かせない。

 また、家族や友人が同乗する際には注意を促すのも有効だ。岩貞さんはこう提案する。

次のページ