というのも、次から次へと仕事が来るので、自分の仕事をこなすこと、高校に通うことで精いっぱいで、そんな意識を抱く暇もなかったんです。

 撮影が休みの日には高校に通って、大学の夜間部に進学しました。もしかしたら、大学生の役が来るかもしれない。そのためには経験を積んでいたほうがいい、と考えたのです。

 小百合ちゃん、雅子ちゃんとはいまも仲良しです。年に一度は小百合ちゃんが声をかけてくれて、みんなで集まる会をやってきました。

――16歳にしてスタートした女優業。演技のレッスンも少しは受けたが、ほぼゼロに近い状態で飛びこんだという。苦労はなかったのだろうか?

 下手なりになんとか、がんばりました(笑)。すべて、現場で身につけたと思っています。

 例えば鈴木清順監督はご自身で動きまで指示しながら「こういうふうにするんだよ」と、演技を教えてくださいました。

 ほかの監督とのお仕事でも、とにかく監督の言うことをよく聞いてやってみる、という形で学んできた。本当に「撮影所で育った」という感じなんです。

 バレリーナの役、サーカスのブランコ乗り……いろんな役をこなしました。サーカスのバイク乗りの役もありましたね。遠景の檻の中をバイクで走るんです。実際に檻の中で走るのは別の方ですけど、アップのシーンでは自分で運転をしました。

 撮影前に練習をすることも多かったですが、そんなに大変とは思わなかった。まだ若かったから。

 ただ、苦手だったこともあります。強く人にものを言うことができないんです。パッと感情を爆発させたり、怒らなきゃいけない役は難関でした。

――27歳での結婚は、大きなターニングポイントだった。4歳年上で、ジャーナリストの黒木純一郎さんとの出会いは、週刊誌の取材。

 密着取材で出会ったんです。第一印象は行動的、という感じでしたね。話しやすかったですし、話を引き出すのも上手だなと思いました。

 最初は彼の事務所のバーベキューやキャンプに誘われて、みんなで集まっていました。あまり大勢で行動した経験がなかったので、ワイワイとした雰囲気で過ごすのが楽しかった。

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