追加競技のスポーツクライミングは有力選手が多いが、五輪ではスピード、ボルダリング、リードの3種目の総合成績で順位が決まる。昨年の世界選手権では男女ともに表彰台を逃しているだけに不安が残る。

 同じく追加競技の空手には男子形の喜友名諒ら、スケートボードには女子ストリートの西村碧莉(あおり)らメダル候補がいるが、初の五輪でどう戦うか。

 陸上はリオ五輪銀メダルの男子400メートルリレーに注目が集まるが、5月11日の世界リレーではバトンパス失敗で失格、19日の国際大会では圧勝と極端な結果で、すべてはバトンパス次第。マラソンは男子の大迫傑が昨年10月に日本人初の2時間5分台を記録したとはいえ、世界との差はまだある。

 陸上で期待できるのは男子競歩だ。スポーツライターの折山淑美さんは「鈴木雄介が金メダルを獲る可能性は高い」と話す。鈴木は20キロの世界記録保持者だが、4月には初挑戦の50キロで日本記録を樹立した。

「20キロは強豪の層が厚いうえ、調子が結果に直結しやすい。実力が結果につながりやすい50キロの方が金の確率は高そう。どちらを選ぶのかも注目です」

 目標達成へ、頼みの綱は日本のお家芸である柔道だ。折山さんは「男女ともに金メダル候補が複数いる」と期待する。男子では60キロ級の高藤直寿、66キロ級の阿部一二三か丸山城志郎、73キロ級の大野将平と軽量級の選手を挙げた。

「軽量級は昔から選手層が厚く、結果も出している。井上康生監督になってからより締まってきました」

 女子では52キロ級の阿部詩と70キロ級の新井千鶴が期待だという。

「阿部選手は昨年の世界選手権で、オール一本勝ちで優勝しました。新井選手は17、18年の世界選手権を連覇しています。メダルに限りなく近い存在と言っていい。ただ他にも層は厚いので、まずは今夏の世界選手権を注視したい」

 また、57キロ級の芳田司、78キロ超級の朝比奈沙羅も昨年の世界女王だけに期待大。一本による決着の増加を目指すルール変更も「一本の美学」を標榜する日本にとって追い風だ。

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