長らく萩野と競泳陣を牽引してきた瀬戸大也は、400メートル個人メドレーとともに200メートルバタフライも期待値は大きいと話す。昨年末の世界短水路選手権では世界新記録を達成している。
「200メートルという距離に対するペース配分が上手で、元々バタフライが得意な選手。水面を滑るような泳ぎでスピードもあげやすい。もちろん個人メドレーについても、彼自身がリオ五輪以降失っていたハングリーさを取り戻せた!と話しているので期待です」
とはいえ競泳陣全体については、「世界は常に動いている。危機感もある」と萩原さんは話す。
同様に心配されるのは体操だ。男子は内村航平がケガと30歳という年齢からくる衰えで以前の輝きを失い、白井健三もケガに苦しむ。
88年ソウル、92年バルセロナ両五輪メダリストの池谷幸雄さんはこう指摘する。
「内村の衰えは隠せず、20年大会が東京に決まっていなければ引退していたはず。世代交代は起きていて(19日の)NHK杯でそれがはっきりした。優勝した谷川翔が今後日本の体操を担っていくでしょう」
谷川の「6種目すべて安定しているオールラウンダー」という強みは内村と共通している。
だが、池谷さんはこう話す。
「個人総合で五輪を連覇している内村に比べれば、粒が小さいことは否めない。団体も含め、金が取れるかというとまだまだ厳しいのでは」
女子は18年世界選手権個人総合銀メダルの村上茉愛が腰痛でNHK杯を棄権した。かつての教え子の村上については、「健康体であれば実力は世界トップクラス。金も狙える立ち位置です」と期待する。
近年躍進する卓球は、4月の世界卓球で中国勢の巻き返しに遭い、金メダルはゼロ。男子シングルスで15歳の張本智和や、女子ダブルスでともに18歳の伊藤美誠・早田ひな組の成長に期待したい。
3大会ぶりに復活した野球は、前回北京五輪で4位にとどまった。ソフトボールはいまだにエースの上野由岐子頼みで苦しい。