東京五輪のチケット抽選販売日を発表した北島康介さん(右)と大橋未歩さん(C)朝日新聞社
東京五輪のチケット抽選販売日を発表した北島康介さん(右)と大橋未歩さん(C)朝日新聞社

  5月9日に受け付けが始まった2020年東京五輪のチケット抽選販売。初日は公式販売サイトにアクセスが殺到して「画面が先に進まない」状況となったが、現在は落ち着いている。しかし、次なる難題が待ち受ける。

 大会組織委員会が目を光らせるのが、チケットの不正転売だ。過去の五輪でも問題化した。

 対策として、組織委は公式転売サイトを20年春に開設する予定だ。いま、転売サイトを立ち上げるか、現時点の販売サイトの中に転売機能をつけるかを検討しているという。

 組織委の担当者は説明する。

「チケットを売る方になるべく負担がないように、売ったチケットをそのまま物理的に回すのではなく、チケットを一度無効にし、新しく転売先の人にチケットを発行することを考えている。そうすることで、偽造のチケットが買い手に渡ることがなくなり、安全に取引できる。現段階では出品者から手数料を頂く予定。組織委員会を介することで、公式のチケットと証明できる」

 国会でも、人気アーティストのコンサートや、大型スポーツイベントのチケットを買い占めるネット上のダフ屋行為を禁じるチケット不正転売禁止法が成立した。6月14日に施行される。違反者には1年以下の懲役か100万円以下の罰金、またはその両方が科されることになる。

 フリマアプリ大手の楽天、ヤフー、メルカリの3社も、五輪チケットの出品禁止を表明した。楽天が運営する「ラクマ」の担当者は言う。

「仮に個人間で取引があった場合、実際に会場に行った時にチケットが無効だったということも可能性として十分にある。私たちにとっては、ユーザーに残念な体験をさせてしまうことになる。だから、五輪チケットに関しては特に注意深くパトロールをしている」

 不正転売を見つけるために、積極的に技術を活用していくという。

「チケットに載っているロゴなどのマークを検知するなど、テキストや画像をAIに近い技術で判断できる。見つけ次第、ページ削除をとらせていただく。サービス利用者への罰則などは、いまのところ特に考えていない」

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不正販売対策は成功するのか?