古賀茂明「安倍総理が隷属するトランプ大統領との選挙互助会とは?」
連載「政官財の罪と罰」
だから、参院選までは日本惨敗の結論は出せない。トランプ氏は、4月の日米首脳会談で、結論を5月末までに出したいと発言して日本側を驚かせたが、会談後、時期にはこだわらないことになったと伝えられた。マスコミは、「安倍総理がトランプ大統領を説得した」と安倍総理を持ち上げたが、結論が参院選後というのは最初から決まっていたことだ。交渉の妥結期限を見かけ上後ろにずらして「やった」という中身のない譲歩で安倍総理に花を持たせてトランプ氏は貸しを作った。
第3幕、参院選終了後の日米交渉は大爆発する可能性がある。20年の再選に向けた選挙戦に突入するトランプ大統領は、安倍総理に対して選挙向けに借りを返せと強く要求するはずだ。
例えば、日本車の対米輸出数量規制や日本の自動車メーカーの対米投資拡大などを迫るだろう。牛肉などの関税をTPP水準まで下げることは事実上米側に取られている。日銀による通貨安政策を封じる狙いの為替条項や、中国との協定には米の承認が必要という条項を押し付けられる可能性すらある。
その結果は、安倍・トランプの関係が「盟友」でも何でもなく、「安倍総理が隷属する選挙互助会」に過ぎなかったことを示すはずだ。
しかし、国民はそれに気付かない可能性がある。安倍官邸が、「大敗」に備えて今からスピンコントロール(情報操作)に注力しているからだ。
来週はその話をしよう。
古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。新刊『日本を壊した霞が関の弱い人たち 新・官僚の責任』(集英社)など
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