だが、1月の合同自主トレで右ふくらはぎを肉離れした。春季キャンプの1軍スタートが内定していたが、2軍スタートに変更となった。全体練習に合流したのはキャンプ終盤の2月25日。開幕1軍は厳しい状況だったが、メディアの報道は過熱するばかりだった。

 期待値の高さを考えれば、1軍どころかファームでも結果が残せない現在の状況は歯がゆいかもしれない。だが、悲観する必要は全くない。ファームで根尾と対戦した投手は「空振りを恐れずどんどん振ってくる。あれだけ振れるのは凄いです。打つ、守る、走る。その姿を見ると、センスの塊ですね。プロのスピード感に慣れれば絶対出てきますよ」と感心するほどだった。

 高校時代は投手と遊撃手の「二刀流」だったが、プロでは野手一本で勝負することを決断。遊撃の守備で勉強することは山ほどある。打撃も、高校生よりレベルが数段上のプロの投手の直球の速さ、変化球のキレ、制球力に慣れる時間が必要だ。焦らずじっくりと。プロ野球人生は始まったばかりだ。(春日哲也)

週刊朝日  2019年5月17日号