普及する理由にあげられるのが、スマホだ。楽天によると、ラクマのシニアユーザーの約20%がアプリを使い始めたきっかけを「スマホを持ち始めたから」と答えている。

 ただ、興味はあるけれど、一体どうやって使ったらいいの? どのアプリを使えばいいの?と思う人も少なくないだろう。生前整理アドバイザーの梅本和子さんも「3年ほど前からアプリを使った生前整理が話題になることもあったが、まだ広く浸透はしていない」と指摘する。

 そこで本誌はラクマ、メルカリ、ヤフオク!の担当者に聞いてみた。

 まず、フリマアプリ全体の特徴だが、なんといっても出品の「手軽さ」だろう。アプリをダウンロードし、基本情報などを入力して登録しておけば、その後、売りたいものをスマホのカメラで撮るだけですぐに出品できる。値段を決めるのは自らで、1品からでも出品できる。売れたら出品者は匿名で宛名も書かずにコンビニエンスストアなどに持ち込めば、配送に至る。

「ユーザーが使いやすいよう、アプリは最低限かつ十分な機能が備わっているし、慣れてきたら細かい設定も可能です」(ヤフー広報)

 売り上げはキャッシュレス決済で活用できる。ラクマだと「楽天ペイ」「楽天市場」、メルカリは「メルペイ」。量販店やコンビニなど実店舗でも売り上げは使える。

 フリマアプリを利用することで得られるのは、お金だけではないようだ。「この物を売りたいんですと相談者から聞かされたことはない。捨てるのはもったいないので、誰かに使ってほしい、という気持ちが伝わってきます」(梅本さん)

 メルカリの広報担当者も60代以上のフリマアプリ利用者は単に「お金」「処理の場」ではなく、「社会とのつながり」を求めている傾向があるという。

 これまでは、リサイクルショップや業者に頼み、一気に物を減らしていたという人も、売れることへの喜びや購入者とのやりとり、引き取り手が現れることによって、はまってしまうケースも多いという。

 一方で、「自分の宝物がいくらになるか、興味がある」(50代男性)と、自分の大事なものをお金にかえたいというニーズもある。

次のページ