「僕自身、10代の頃は自分が俳優になるなんて思ってもいませんでした。将来は映画監督になりたかった。でも当時、映画界は斜陽の一途。どうやって映画の道に入るかもわからない。当時から、俳優学校はあったので、『芝居の勉強も役に立つかも』と思って入った俳優学校で、初めは恥ずかしかったけど、周りを見たら、俺でもいけるんじゃないかとその気になって、うっかりここまで続いちゃったんです。演じることはいまだに恥ずかしいです。だって人前で変なことを言ったりやったりするわけでしょう(笑)。でもこの感覚は手放しません。僕は、表現は“起源”を含むと思うんです。生まれて初めて演技をする人の輝きには、どんな役者もかなわないんですよ。特にナカタさんは子供みたいな人なので、その“事始め”の感覚を失わないよう気をつけてます」

(取材・文/菊地陽子)

週刊朝日  2019年4月19日号