会社法違反などの罪で起訴され、3月に保釈されたばかりだった日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン被告が今朝、東京地検特捜部に“電撃”再逮捕された。再逮捕の容疑は今回も会社法違反(特別背任)で、ゴーン被告が日産の資金をオマーンの販売代理店側に送金し、一部を私的流用したというものだ。
東京地検特捜部の事件で一度、保釈された被告を再逮捕するというのは異例で、ゴーン被告はまたも「囚われの身」となる。
奇しくも4月2日夜、ゴーン被告本人のものと思われるツイッターのアカウントがアップされた。
<何が起きているのか真実をお話しする準備をしています。4月11日木曜日に記者会見をします>などと記されていた。
一連の事件で、ゴーン被告が公の場で日産や特捜部の捜査に関して語るのは、初めてで注目されていた。だが、その直前に再逮捕された。
実は過去にも同じようなケースがあった。
2002年4月、現職の大阪高検公安部長だった三井環氏が詐欺容疑で突然、逮捕された。
それまで週刊朝日は三井氏の証言で、検察の裏金問題を何度もスクープ。
そして、逮捕日午後にはテレビ朝日が三井氏を検察の裏金問題でインタビューする予定だった。
筆者も当時、三井氏の取材を担当しており、あまりのタイミングのよさに絶句するしかなかったことを今も覚えている。容疑は落札したマンションに居住の実態がないのに登録免許税を軽減させたという微罪の容疑だった。三井氏がこう検察の姿勢を批判する。
「検察は裏金が表にされるのを嫌がり、テレビ朝日のインタビュー前に口封じする目的でとんでもない容疑で私を逮捕した。ゴーン被告も、会見を予定していたようで、検察の口封じの可能性が高い。これで保釈請求を後日するにしても、検察が異議を唱えることができる。まさに人質司法だ」
特捜部の手掛ける事件は、起訴できる証拠が揃って逮捕するのが通例で、ゴーン被告の会見を阻止するためだけの逮捕とは、考えられない部分もある。