【1】朝起きたら「今日一日何をするか」三つ挙げる


 目覚めたら、「今日一日何をして過ごすか」「どんなことをしたいか」を思い浮かべる。そのなかから優先順位の高いものを三つ挙げる。覚えられないときはメモしてもよい。

 ポイントは思い浮かべる内容。普段できるような、例えばこんなものにする。

「朝食はみそ汁とご飯にする」「近所の公園まで散歩をする」「借りていた本を読む」……。

 逆に、「語学の勉強を始める」「部屋を徹底的に片付ける」「豪華な夕飯を作る」……など、面倒なこと、難しいことは挙げないほうがよい。

【2】三つについて「10秒アクション」を考える
 次に、優先順で挙げた三つの「やること」を始めるための、10秒アクションを考えてみる(メモする)。

 みそ汁を作るのであれば「冷蔵庫を開ける」でOK。散歩であれば「玄関で靴を履く」、読書であれば「『はじめに』だけ読む」など。

【3】その日のなかで三つの「10秒アクション」を実行
 一日のどこかで10秒アクションを実行する。それだけで終わらせてもよいし、ついでにその先の行動を起こしてもいい。みそ汁を作る、散歩に出るなどだ。

【4】寝る前に自分を褒める
 寝る前に一日を振り返り、10秒アクションを最後までやり遂げた自分を褒めてあげよう。メモにしていれば、赤ペンで○をしたり、ご褒美シールを貼ったりするなどしてもいい。

 あなたでもできるような気がしませんか。

 ところで、なぜ10秒でやる気スイッチが入るのか。大平さんはこう解説する。

「人って案外、しっかりやろう、ちゃんとやろうとするほど、物事を先延ばししやすい。行動のためのハードルが高すぎてしまうからです。何かを始めるきっかけを作るには、10秒アクションぐらいのハードルの低さが大切なのです」

 この10秒アクションはドミノ倒しの最初の一枚のような役割を持つ。それがトリガー(引き金)となって、本来やりたいと思っていた行動をとりやすくなる。

 行動の振り返りも大事な要素だ。

「どんな小さなことでも自分で決めて実行すれば、大きな自信になり、翌日のアクションにつながります。シニアにとって大切なのは、未来より毎日をよりよく生きること。先のことを考えすぎて不安になり始めると、負のスパイラルが起き始める。それを断ち切るためにも、『今日一日はいい日にしよう』と頭を切り替える。そういう思考パターンを作るためにも、この10秒アクションは役立ちます」(同)

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