「幼いときから幼児教室で計算力を鍛えたことで、算数、数学が得意な子どもになりました。医学部入試では数学の成績が合否を左右すると思います」(ケース3の母親)


 
 勉強だけではなく、ボランティアを含め、さまざまな経験をさせることも大切だ。外科手術を見学できるセミナーや「一日医師体験」を実施している医療機関もあるため、ぜひ参加してみよう。

■医学部進学のために自宅を転居する

 岡山県倉敷市の川崎医科大キャンパス内の現代医学教育博物館2階には、無料で一般公開している「健康教育博物館」がある。体験やクイズなどで子どもも楽しく学べるため、おすすめだ。
 
 医学部合格を目指すなら、学校選びもポイント。週刊朝日MOOK『医学部に入る2019』(朝日新聞出版)などでは、「医学部に強い高校」を紹介しているので、参考にしてほしい。医学部に強い高校のほとんどが、進度が速い中高一貫校。中高一貫の進学校がない県では、県立のトップ校を目指そう。なかには、ケース4のように、子どもの医学部進学のために転居するといった“強者”も。また、ケース5のように中高一貫校の寮に入って勉強に打ち込む子どももいる。

「教育環境が大事だと思っていましたので、お受験塾に通わせ、教育熱心な家庭の子どもが集まる私立の小学校に入れました。中学からは、医学部に進学実績がある中高一貫校に通わせました」(ケース6の父親)
 
 名門の中高一貫校に合格したからといって、油断は禁物だ。進度が速いことは、成績上位の生徒にはメリットだが、いったん勉強が遅れてしまうと、なかなか追いつくことができない。

 ケース7の父親は、息子の高校時代についてこう回想する。

中学受験で燃え尽きてしまったのかもしれません。入学後に勉強をさぼってしまったら、授業についていけず、成績が低迷しました。現役時の入試は全敗。2浪して医学部に合格しました」

 中学生や高校生の塾・予備校選びも大切だが、浪人してからの予備校選びはさらに重要。浪人を重ねると合格しにくくなるからだ。

 5浪の末に、息子が合格したケース8の母親は、「最初から、5浪目に通った医系専門予備校に通っていれば……」という思いを抱いている。
 集団授業についていける学力があり、自分で計画を立てて勉強できる生徒には大手予備校の医学部志望者が集まる校舎がおすすめだが、そうではない場合には、少人数授業や個別授業で、長時間強制的に勉強させる医系専門予備校のほうが向いているかもしれない。説明を聞いたり、体験授業に参加したりして、「ここで勉強したい」と思うところを選ぼう。

(文/庄村敦子)