赤ワインは皮(果皮)が紫色のブドウを用い、白ワインは果皮が緑色のブドウを使う。というわけで、赤ワインと白ワインではまず、使うブドウの品種が違うのだ。カベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワールで造るワインは赤ワインだ。シャルドネやソーヴィニヨン・ブランで造るワインは白ワインだ。要するに、ワインに入っているブドウの品種がわかれば、そのワインが赤ワインか白ワインか、たいてい峻別(しゅんべんつ)できる。  

 例えば、食用のマスカットは果皮が緑色だ。だから、マスカットを使って造ったワインは白ワインになる。もっとも、ピノ・ノワールの入っているスパークリングワインが白色のこともあり、このルールは百パーセント正しいとは限らないけれども。でも、まあほとんどの場合はこの単純なルールで大丈夫だ。
 
 次に製造工程だ。製造工程も赤ワインと白ワインは異なる。
 
 赤ワインは赤ワイン用のブドウを粉砕し、果汁、果皮、種子を全て使って発酵する。一方、白ワインでは果汁だけをとっておいて、果皮と種子などは取り除いてしまう。

■白ワインは「酸味」と「甘み」を、赤ワインは「タンニンの渋み」も加わる
 
 このため、赤ワインでは果皮や種子の成分がたくさん入っており、白ワインではあまり入っていない。赤ワインでは味わったとき、果皮に多いタンニンの成分が感じられるが、白ワインではタンニンは感じない。果皮にタンニンの成分がたくさん入っているためだ。

 日本ソムリエ協会などが使っているワインの「官能表現チャート」(作成:石田博氏)というのがある。白ワインは丸く、赤ワインは三角なのが特徴だが、白ワインについては見るべきポイントは二つだけ。「酸味」と「甘み」だ。一方、赤ワインは「酸味」と「甘み」に加えて「収斂(しゅうれん)性」が加わっている。収斂性とは聞き慣れない言葉だが、要するに「タンニンの渋み」のことだ。ざっくりな表現をあえてするならば、渋みがあるのが赤ワイン、ないのが白ワイン、とも言い換えられよう。
 

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変化するワインの色