『神の雫』でも描かれた「メドック・マラソン」は、なぜワインを飲みながら走るのか? (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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『神の雫』でも描かれた「メドック・マラソン」は、なぜワインを飲みながら走るのか?

連載「ワインは毒か、それとも薬か」

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岩田健太郎週刊朝日#ヘルス#ライフ
岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。沖縄、米国、中国などでの勤務を経て現職。専門は感染症など。微生物から派生して発酵、さらにはワインへ、というのはただの言い訳なワイン・ラバー。日本ソムリエ協会認定シニア・ワインエキスパート。共著に『もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典』など

岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。沖縄、米国、中国などでの勤務を経て現職。専門は感染症など。微生物から派生して発酵、さらにはワインへ、というのはただの言い訳なワイン・ラバー。日本ソムリエ協会認定シニア・ワインエキスパート。共著に『もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典』など

メドック・マラソンでは、ジロンド川の左岸をひたすら走る。砂利道はワイン造りには最適だが、マラソンロードとしては厄介だという(写真:getty images)

メドック・マラソンでは、ジロンド川の左岸をひたすら走る。砂利道はワイン造りには最適だが、マラソンロードとしては厄介だという(写真:getty images)

 感染症は微生物が起こす病気である。そして、ワインや日本酒などのアルコールは、微生物が発酵によって作り出す飲み物である。両者の共通項は、とても多いのだ。感染症を専門とする医師であり、健康に関するプロであると同時に、日本ソムリエ協会認定のシニア・ワイン・エキスパートでもある岩田健太郎先生が「ワインと健康の関係」について解説する。

*  *  *
 ワインはブドウから造られる。そのブドウはワイン産地で栽培される。

■ワイン造りには気温・日照時間・雨量・土壌が大切

 ワイン造りに適した、よいブドウの栽培にはいろいろな条件が必要だ。適切な気温(平均10~16度、かつ日内温度較差があったほうがよい)、適切な日照時間(ある程度多めがよく、南向きの畑がよいとされる)、そして適切な雨量(やや乾燥気味がよい)が必要だ。この適切な、というのがやっかいで、要は多すぎても少なすぎてもいけない、ということだ。

 土壌も大事だ。ワインの名産地は石灰質の土壌、砂利質の土壌、粘土質の土壌などいろいろあり、それぞれ、その土地の雨量や栽培するブドウとの相性がある。ものの本には「保水性を保ちながら排水性の良い」土壌がよいと書いてある。ここでも「適切さ」が必要だ。まことにやっかいな要求だ。

 畑の特性を俗に「テロワール(terroir)」という。フランス語で、表土や底土の性質、排水度、標高や方位、日照度、湿度、風の吹き方などの細かい気象条件(micro-climate)など、多くの要素が「畑の特性=テロワール」に寄与している。テロワールはわかりづらい概念だが、要するにいろいろな条件を加味したワイン造りの土地(とその周辺)の特性ってことだ。

 2016年にぼくは「メドック・マラソン」に参加するためフランスのボルドーを訪問した。

 ボルドーのワインは有名だが、ジロンド川に流れるドルドーニュ川の右岸(海に向かって右側)ではメルロ中心のポムロールのワイン、そしてガロンヌ川から続くジロンド川の左岸(海に向かって左側)ではカベルネ・ソーヴィニヨンを主体としたメドックやグラーヴのワインが有名だ(いずれも赤ワイン)。


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