国内携帯大手は、高速な第5世代移動通信システム(5G)の構築へ、基地局の設備投資を進めている。モバイル業界の調査会社MCAによると、欧州系や日系の企業の設備を使う企業が多いなか、ソフトバンクは欧州系に加え、ファーウェイとZTEを使っているという。昨年度の基地局への新規投資の約6割が、ファーウェイ製とみられる。

 ソフトバンクグループは、米4位の携帯電話会社で傘下のスプリントを3位のTモバイルUSと合併させる方針。米規制当局が統合の可否を判断するが、その最中に米政府の方針に背くのは難しいとみられる。ソフトバンク広報は「商用ネットワークで中国企業の設備採用は事実だが、欧州系と比べて比率は小さい。日本政府の方針を注視して準拠する方向で、今後は様々に検討したい」という。

 前出の石川氏は、ファーウェイ製品が世界で排除されると、日本の産業界への打撃も大きいと指摘する。

「ファーウェイは日本企業から部材をかなり買っており、今年は60億ドル。中国への輸出総額の4%ほどになると言われています」

 消費者にも産業界にもじわりと影響が及びそうで、米中両国間の対岸の火事と眺めてはいられない。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2018年12月28日号

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