関西学院大では、2015年に理工学部に先進エネルギーナノ工学科など三つの学科を新設。水木純一郎理工学部長は学科新設が科研費の増加の背景にあるとした上で「科研費が増えることで、研究設備の充実や学会の旅費支出などにつながり、学生にとってもメリットが大きい」と説明する。

 立命館大も科研費獲得に力を入れており、採択金額は今年初めて13億円を超えた。機械力学やロボティクスなどの関連分野での科研費獲得は私大で最も多い。

「3Dプリンターや、高額な分析装置、試験機を購入するなど、研究の目玉となる装置を導入でき、研究の活性化に大きく貢献している」(同大広報課)

 今や全国区の人気を集めるのが、2004年に秋田市郊外に開学した国際教養大だ。

「ほぼ全都道府県から入学しています。学生の約9割が日本の高校を卒業し、そのうち約8割が公立高校出身です。地方の大学ですから、保護者や学校の先生の反対を押し切って、強い覚悟と高い志を持って入学した学生も少なくありません」

 同大の磯貝健副学長がこう説明する。秋田という地方都市に意欲が高い学生が全国から集まっているのは極めて異例だ。

 同大は「国際社会に貢献できる人材育成」を目指しており、就職希望者に対する就職率は100%で、就職に強い大学として知られる。国際教養学部のみで定員は175人。授業はすべて英語で行うため、新入生は最初のオリエンテーションでTOEFL ITP(R)TEST(以下TOEFL)を受け、そのスコアによってクラスが決まる。

「クラスの人数は平均18人の少人数授業で、教員の約53%が外国人です。最初に英語集中プログラムを受け、英語で行われる講義についていける英語力、学習する態度、コミュニケーション力をつけてから基盤教育に進みます」(磯貝副学長)

 同大の大きな特徴は、全員が1年間留学することだ。TOEFLスコア550点以上、GPA(成績評価平均点)2.5以上などの要件を満たすまでは留学できない。このため、留学する時期は学生によって異なるが、2年次の冬から3年次の秋にかけての出発が多いそうだ。

「交換留学ですから、本学も世界中の提携大学から常に留学生を受け入れています。授業のレベルと生活上のケアの両面で提携大学から認められているということです」(同)

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