提携しているのは50カ国・地域の193大学。同大の授業料を納めることで、留学先大学の授業料が免除される(一部の大学を除く)。留学先で履修した科目は、所定の成績を修めることで卒業に必要な単位として認定される。

 入学後の1年間は、全員がキャンパス内の寮で留学生と共に生活する。その後は9割の学生がキャンパス内のアパートの2~3人部屋で暮らすそうだ。

「1年次の寮、2年次以降のアパート、留学先、帰国後のアパートと、異なった環境、人間関係の中でコミュニケーション力や他者を思いやる気持ちが育まれます。グローバルリーダーになるためには英語力や知識だけではなく、人としての『徳』があることが大切です」(同)

 地方の大学ながら、学内で行われる企業説明会には三菱商事、旭化成など約200社もの企業の人事採用担当者が足を運ぶ。英語力、知識に加え、人間としての魅力やリーダーシップを身につけた同大の学生を採用したい企業は多い。

「これからの時代は、真の実力がないと生きていけない。大学名で大学を選ぶのではなく、大きく成長できる教育力で選ぶことが必要になると思います」(同)

 地方私立大の公立化も進み、都市部の大学を敬遠し、地方に目を向ける学生も増えている。その理由は授業料の安さだけではないようだ。

 長野県上田市の長野大はかつて定員割れを起こしていたが、17年4月に公立化すると志願者が増加に転じ、同年の志願者は前年比約2300人増の3千人となった。さらに公立化前は県内出身者が7割を占めたが、18年はその割合が逆転。入学者の出身は北海道から沖縄まで広がり、首都圏からの入学者は17%となった。森俊也副学長は「人口減など地域課題を解決する人材を育てる実践的な教育が志願者から受け入れられている」と解説する。

 16年に公立化した京都府の福知山公立大の地元比率は1割を切り、公立化前はゼロだった首都圏からの入学者も8%に増えた。12年に公立化し地域と関わりながら資源や環境などを学ぶ公立鳥取環境大も首都圏出身の学生の関心を誘い、今年は9人の入学者がいた。

「授業料の安さから国公立大に進みたい学生は一定数いるが、出身地と同じ規模の小さな町で地域活性化の方法を学びたい入学者も多い」(福知山公立大入試担当者)

(庄村敦子、本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2018年12月14日号