50代以上の大人女子が「爆消費」に走っているのは、子育てを終えた解放感が発端だった。団塊ジュニアになると「おひとりさま」が増えたりするが、彼女たちも子供が大きくなり、まもなく子育てを終え始める。すると、今の大人女子と同様に「爆消費」に走るのか。

 一般的に団塊ジュニアは景気悪化とともに育ったため、バブル世代のようなブランド消費ではなく、無印良品やユニクロなど主張しすぎないファッションを好み、「自分らしさ」にこだわる世代といわれる。

 しかし、世代・トレンド評論家の牛窪恵さんによると、数年前の調査で意外に消費好きな面があることに気づいたという。

「地味な服装をしているのに、自宅を拝見するとブランドものがゴロゴロ出てきたりするんです。普段は派手な消費はしないのに、『馬が好きだから200万円出して馬主になりました』とか『買いたいものはないんだけど、広告を見て3千万円のマンションを衝動買いしちゃいました』などと言う女子がいたりしました。『自分らしさ』に合えばお金を使うんです」

 牛窪さんの調査結果に、団塊ジュニアを「隠れバブラー」と名付けたメディアもあったが、それを裏付けるかのように、大平編集長は「GLOW」読者の消費感覚についてこう言う。

「読者の約半数が世帯年収800万円以上で、お金を使わないのがいいと思っているかというと、そんなことはない。欲しいものは欲しいんです。ずっと欲しかったものを目の前に出されると買ってしまう、そういうタイプが多い」

 実際、彼女たちの消費はどうなるのか。

 牛窪さんは、大物買いは起こりにくいが、「チョコチョコ買い」がかなり増えると予想する。

「上の世代ほど夫が稼いでいませんから、厳しい中でのやりくりになります。ただし、中古に抵抗感がなくフリマアプリも使いこなせますから、雑貨や小物などで自分らしさをアピールするために、ネットでのチョコチョコ買いを繰り返すようになる気がします」

 先の博報堂「新大人研」の阪本所長は、値段が安い「爆消費」が始まると読む。

「グルメを始めたのは団塊ですが、景気が悪くなって団塊ジュニアがグルメをやめたのかというと、そんなことはなかった。団塊ジュニアは、お金をかけないB級グルメをはやらせました。同様に今ほどではなくても、その『廉価版』をやるのではと思います」

 例えば大人女子に人気の金沢なら、今は北陸新幹線の高級車両「グランクラス」で行くが、団塊ジュニアは普通車で、といったイメージという。

 どちらにせよ、一人ひとりの消費額は低くなるが、人数が多い分、総額はそれなりにはなる。活発な「大人女子」消費が続きそうだ。(本誌・首藤由之)

週刊朝日  2018年11月30日号

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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