会見した日産の西川広人社長兼最高経営責任者(撮影・西岡千史)
会見した日産の西川広人社長兼最高経営責任者(撮影・西岡千史)
報道陣が続々と集まった日産本社(撮影・西岡千史)
報道陣が続々と集まった日産本社(撮影・西岡千史)

 日産自動車のカルロス・ゴーン会長が有価証券報告書に報酬を過少に記載した金融商品取引法違反の疑いで逮捕された事件で、日産の西川広人(さいかわひろと)社長兼最高経営責任者(CEO)は19日夜、横浜市の本社で会見した。

 報道関係者が200人以上集まる中の緊急会見で、西川社長は弁護士なども伴わず、一人で出席。ゴーン氏に経営の権限が集中していたことについて「実力者として君臨してきたことの弊害」「負の遺産」と繰り返し、謝罪会見というよりも、ゴーン氏の「追放」を強く印象づける会見となった。
 
 西川氏は冒頭で「ゴーン氏について重大な不正行為を確認した。内容について細かく説明できないが会社として断じて容認できない。解任することを決断した」と述べた。正式には22日に取締役会を招集して手続きするという。

 その上で西川氏はこう謝罪した。

「本件は内部の通報があり、社内調査の結果、ゴーン氏らの複数の不正が確認された。事案の内容を会社から検察当局に説明し、捜査に協力してきた。株主や関係者の皆様に不安を与えたことを謝罪する。カルロスゴーン率いる日産の信頼を大きく裏切ることになってしまった。大変残念で申し訳ない。私自身、経営会議のメンバーとして力を合わせてきたが、こういう重大事案になったのは、残念という言葉を超えて強い憤り、落胆している。従業員の中にもいったい何が起きているんだという状態で、私が感じていることが従業員にも広がっていくのではないか。社内の動揺を安定させ、取引先との影響を出さないように集中していきたい」

 不正の内容については捜査中として説明を避けた。今後の経営の進め方について、社外取締役を中心に第三者も入れて調査するという。

 仏ルノーや三菱自動車との関係については、変更が必要になれば調整していくとした。

「ルノーへの影響は大きいが、ルノーや三菱とのパートナーの関係に影響はなく、緊密に連携していく。将来に向けては、極端に特定の個人に依存した形の見直しの機会になる。43%の株を持つルノーのトップが日産のトップを兼任するのは、ガバナンス上問題があった。ゴーン統治で一人の個人に権限が集中したことは負の遺産で、時間を置かずに明確に手を打っていく」(西川氏)

 ゴーン氏と一緒に逮捕された同代表取締役のグレゴリー・ケリー氏については「ゴーン氏を背景に影響力を持ってきた」と話した。

 記者との主な質疑応答は以下の通り。

次のページ
ゴーン会長への権力の集中の果て…