―日本市場を軽視していたのでは。

「全く軽視はしていない。日本初のブランドの価値は、いまの経営陣は十分認識している。日本のマーケットの重要性を見ているが、過去にその部分が十分に会社の中で認識されていなかった時期がある。なので商品投入には時間がかかるので、挽回(ばんかい)しにくいことがあった。ここは断言は避けたいが、ある意味偏った意見で商品投入された時期があり、結果としてお客様に訴求できなかったことがある。ここは事実だという実感だ」

―ルノーとの関係は。

「ルノーとのアライアンスの会社のCEOをゴーン氏が兼務しているのは変わりない。ルノーの取締役のみなさんと協議をして決めていく。今のとこをそれ以上の協議はしていない。これからそこを含め相談していく」

―後任については次会の株主総会まで決めないのか。

「取締役会にはかるので、いま話すのは時期尚早。2人の取締役は解任できないので、どの段階で株主総会を招集するのか、ガバナンスをどうするのか、社外取締役を中心に提言してもらう。総会の決議が必要なことも含め、対策していく。当面は22日に相談して、短期の対応と時間のかかる対応を提言してもらう」

―ゴーン氏から話を聞いていないことでいいのか。

「私は聞いていない。動機については控えさせてください。調査は十分にできている」

―ゴーンさんへの権限の集中の弊害と言うが、なぜこのような事態になったのか。振り返ってみて、それを許した原因は。

「なぜそうなったのかは非常に難しいが、人も入れ替わるなかで、私自身どういうことができたか反省しないといけない。2005年にルノーと日産のCEOを兼務することになった。私たちは日産にとっていいことではないかと思って、その時、将来どのようなことが起きるのか議論していなかった。一人個人に依存するのは将来を見通せないという質問もあるが、それが転機となった。私たちも十分分からない中で権力が集中していった」

 西川社長は会見の最後まで頭を下げることはなかった。最後の言葉は「ありがとうございました」だった。

(本誌・多田敏男 AERA dot.編集部・西岡千史)

※週刊朝日オンライン限定記事