(イラスト/坂本康子)
(イラスト/坂本康子)
ストーカー事案の加害者の年齢。加害者の約1割が60歳以上(週刊朝日2018年11月23日号から)
ストーカー事案の加害者の年齢。加害者の約1割が60歳以上(週刊朝日2018年11月23日号から)

 高齢になっても、人が人に恋心を抱くのはごく当たり前のこと。だが恋も結婚も、感情だけで突っ走ればイタイ目に遭うリスクも高くなる。また、「別れ」に気持ちが上手に切り替えられないシニアもいる。

【意外と多い?高齢者のストーカー。図はこちら】

『セックスと超高齢社会』『パパ活の社会学』等の著者で、社会的な切り口から性問題の解決に取り組んでいる「ホワイトハンズ」代表理事の坂爪真吾さんは言う。「長く会社で働いてきて、社内での地位や肩書、学歴に依存してきた人ほどプライドが高く、自分が拒絶されるなどということは受け入れることができないのです。相手の気持ちが理解できず、『悪いのは自分ではなく相手』という考え方に陥ってしまいがちです」

 そして怒りに駆られ、場合によってはストーカー行為に及んでしまうこともある。

「定年後で普段お仕事ももうしていらっしゃらない方だと、時間がたっぷりあるというのが逆によくないのです」(恋人・夫婦仲相談所の三松真由美さん)

 シニアのカップルがつきあいをやめるときは丁重な言葉を選ぶこと。そして相手の「こんなところが受け入れられない」「こんなところについていけない」といった、相手の「否定」につながるようなことは一切言わないことが肝心だ。また別れを告げられたほうも感情的なリアクションは絶対にしないこと。

「ストーカー規制法に違反する行為は罰金だけでなく、場合によっては逮捕されることもあるということを覚えておいてください。つきまといだけでなく、交際の要求や『このやろう』『ばかやろう』といった乱暴な言動も、ストーカー規制法の規制の対象になります」(弁護士の比留田薫さん)

 また無言電話や、相手が拒否しているにもかかわらず大量のメールを送り付けることで、もし相手が精神的に病んでしまった場合は傷害罪に問われることも心にとめておきたい。

 近年は、女性が自分の夢を経済的に支援してくれる“パパ”を探す「パパ活」も広がりを見せている。そこで“パパ”に名乗りを上げるシニアも多いようだ。

「医師や弁護士、中小企業のオーナーの方など、お金も社会的地位もある“既婚者パパ”も多いようです」(坂爪さん)

 だがこのパパ活にも、心得ておかねばならないことはいろいろある。

「女性の体だけが目的ならば風俗に行けばいいわけです。しかしパパ活は『その女性と人間的な関係性をどう築いていくか』ということが問われている世界であって、興味本位で足を踏み入れる世界ではありません。だからある程度心にも余裕がある人でなければ長続きはしません。家がつまらないから、仕事がつまらないからといった理由で『パパ活』に走るのは、絶対に避けたほうがいいと思います」

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