「女性たちの活動は本当に活発ですね。海外一人旅を楽しむ女性も大勢いらっしゃいます」

 A子さん・B子さんの京都、金沢行きは女友達との旅だが、それもまた大人女子たちの一つの特徴のようだ。

 博報堂の新大人研が「子育て終了で思うこと」を聞いたアンケートで、男性は「これからは夫婦2人の時間を楽しみたい」とする答えが3割超を占めたが、大人女子は、「これからは自分の時間を楽しみたい」が約4割で、これに「ひとりの時間を楽しみたい」「友人・仲間との時間を楽しみたい」が続いた。つまり、夫の影は極めて薄い。

 神奈川県のC子さん(61)は年に1~2回、海外へ一人で出かける。カナダ、イタリア、フランス、ニューヨーク……。今年は6月にバルト3国へ出かけた。

「動機は『一人になりたいから』です。結婚してからずっと我慢してきました。子育てに区切りがついた50代半ばから、『もう自分に、ごほうびをあげてもいいのでは』と思って行くようになりました。添乗員付きツアーですので、1回100万円はかかりますね。夫は家族旅行をしたいようですが、何も言わせないようにしています」

 子育てからの解放感を味わいつつ、夫とは行動を共にしない。旅行は大人女子パワーを全開させる場なのだ。

 ファッションでは新たな動きが生まれつつある。先の阪本所長が言う。

「これまで60代向けのファッション本はなかなか難しかったのですが、ようやくヒットが出てきました」

 昨年暮れに宝島社が出したファッションムック「素敵なあの人の大人服」がそれ。発売3日で重版が決まる好調ぶりで、秋までに3冊を刊行、シリーズ累計で15万部を突破した。

 担当編集者の神下敬子さんが言う。

「この世代向けの雑誌は、健康か超セレブ向けかのどちらかでした。でも、いろんな人を取材していると、自然体でおしゃれを楽しみ、私が見ても『素敵』『マネしたい』と思える人がいっぱいいた。彼女たちをまとめてアピールすれば反響があるのでは、と思ったんです」

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