ソロ公演で歌うジュリー=2013年、渋谷公会堂 (撮影・佐藤修史)
ソロ公演で歌うジュリー=2013年、渋谷公会堂 (撮影・佐藤修史)

 50~70代の「大人女子」が元気だ。公演中止問題で注目を集めた沢田研二を支えるファンの中心もこの世代。いわば「基礎票」となってジュリーの観客動員数を支えている。彼女たちは今回の騒動をどう見たのか。

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 10月29日、東京都立川市の市民会館。沢田研二は満員の客席の奥を眺めて「ファンに一言!」。中央を見て「ファンに一言!」。手前を向いて「ファンに一言!」。自分にマイクを突きつけたマスコミのまねをした。続けて、

「言わなくてもわかるよね~」

 とおどけてみせると、「大丈夫よー!」という大きな歓声と拍手が沸いた。

「今回(の中止)は、ファンのみなさんに一方的に甘えました」

 ジュリーのその言葉にまた拍手が起きる。

「会場はふだん以上に温かい雰囲気に包まれていました。ジュリーはアンコールを終えたあと、珍しく投げキッスをしたんです。女性ファンの『ギャーッ』という絶叫が響きました」

 会場にいた東京都在住の会社員國府田(こおだ)公子さん(64)は興奮気味に話す。

「『ファンに甘えました』と言ってくれたのが本当にうれしくて……。甘えてくれたことなんてこれまでなかったですから。私も含め、会場にいた多くの女性が涙ぐみました」

 ジュリーは6月に古希を迎えた。いま、「沢田研二 70YEARS LIVE『OLD GUYS ROCK』」と銘打った全国ツアーの真っ最中だ。

 7月6日~1月21日に全国で66公演を予定。國府田さんはそのうち20公演のチケットを買った。

「いえいえ、全公演を見る人もいますから、大した回数じゃありません」

 中1だった1967年、デビュー直後のザ・タイガースにしびれて以来、ジュリー一筋。「追っかけ」をし、ファンクラブの仕事も手伝ってきた。

 中止されたさいたまスーパーアリーナにも行っていた。入場待ちの列の前方で悲鳴が上がり、拡声機が「中止」を知らせたとき、ジュリーの体調が原因でなくてホッとしたという。

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