楽天、阪神、ロッテの競合の末、ロッテが交渉権を得た大阪桐蔭の藤原(c)朝日新聞社
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オリックス、DeNA、ソフトバンク、広島と最多の4球団から指名され、広島が交渉権を得た報徳学園の小園(c)朝日新聞社
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夏の甲子園大会や地方大会の記録を網羅した『全国高等学校野球選手権大会100回史』(朝日新聞出版)が来年3月に刊行される。完全予約制で、書店、ASA(朝日新聞販売所)、小社ホームページで12月15日まで予約を受け付ける※Amazonで詳細を見る
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 注目のドラフト会議で、4球団からの指名を受けた報徳学園の小園海斗と、3球団から指名を受けた大阪桐蔭の藤原恭大は、中学時代からライバル関係を築き、競い合ってきた。プロの世界に入り、俊足、強打の2人は、侍ジャパンの1、2番コンビを目指す。

【写真】広島が交渉権を得た報徳学園の小園の美しいフィールディングはこちら

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 史上初となる2度目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭の“二刀流”根尾昂が4球団の末、出身地の岐阜に近い中日に決まり、同じく大阪桐蔭の俊足外野手・藤原恭大が3球団のくじ引きによって千葉ロッテに決まった。そして報徳学園の小園海斗も、根尾と同じ4球団が入札に参加し、交渉権は今季のセ・リーグ王者の広島が獲得した。

 やはりドラフトは、ふたを開けてみるまで、何が起こるかわからない。わずか1カ月前まで、ドラフトの話題を独占していた金足農の吉田輝星を1巡目に指名する球団はなく(吉田は外れ1位で北海道日本ハムが指名)、上記の3人で埼玉西武を除く11球団を独占したのだ。

 外野手としてナンバーワン評価の藤原と、“日本一のショート”を目標に掲げてきた小園は、中学時代に同じオール枚方ボーイズに所属していた。同チームは鍛治舎巧氏(現・県立岐阜商監督)が本・秀岳館高校の指揮官に転身するまで監督を務めており、中学硬式野球のタイトルを総なめにするような強豪で、ふたりは1、2番コンビを組んでいた。

「いつか、どこかの舞台でもう一度、1、2番コンビが組めたらいいね」

 藤原の母道子さんと、小園の母こずえさんは、卒団する時、そんな会話を交わしたことを覚えている。藤原は“大阪の雄”大阪桐蔭へ、小園は自宅から通える地元の報徳学園へ、進学先は分かれた。

 ちなみに、こずえさんは、サッカーなでしこリーグの前身であるLリーグの「旭国際バニーズ(現在は消滅)」のMFとしてプレーしたアスリート。夫と共に整体院を営んでおり、小園も練習が終わると両親のケアを受け、入学から公式戦にフル出場した強靱な肉体を築きあげてきた。

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「相当悔しかったみたいです」