ベイ博士は、否定的なツイートを投稿したアカウントを、次の三つに分類した。

(1)普段はスター・ウォーズに関する投稿を行わず、政治やイデオロギーに関する投稿を繰り返す「政治目的のアカウント」
(2)嫌がらせを目的とした「トロール(荒らし)や偽アカウント、ボット(自動投稿アカウント)」
(3)日常的にスター・ウォーズについて語り、政治的主張抜きに批判する「本当に本作を嫌うファン」

 否定的なツイートについて分析すると、50.9%が(1)や(2)に該当した。内訳は61件が政治目的を持つもので、11件がボットだった。さらに33件がトロールや偽アカウントで、そのうち16件がロシアの情報工作で用いられるものと同様の特徴が見られたという。

 つまり、ジョンソン監督に向けられた批判の半数は、ファンの議論とは無関係に、ヘイトの拡散や情報操作を狙ったものだったのだ。ファンの議論が、ロシアには米国の分断を深めるための、右派には保守的思想を守りフェミニズムや社会正義を攻撃するための、「情報戦争の武器」として利用されているとベイ博士は指摘する。

 ついにエンターテインメントの世界まで世論工作に利用するようになったとみられるロシア。日本でも同様の工作が行われていないか、注視する必要がある。

週刊朝日  2018年11月2日号

著者プロフィールを見る
津田大介

津田大介

津田大介(つだ・だいすけ)/1973年生まれ。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ウェブ上の政治メディア「ポリタス」編集長。ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られる。主な著書に『情報戦争を生き抜く』(朝日新書)

津田大介の記事一覧はこちら