ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られるジャーナリストでメディア・アクティビストの津田大介氏。映画「スター・ウォーズ」シリーズがヘイトの拡散や情報操作に使われた件について解説する。
【写真】批判を浴びた「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」の監督がこちら
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2017年12月に公開された映画「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」。シリーズ8作目となる本作は、そのストーリー展開や登場キャラクターをめぐって、大きな論争や批判を巻き起こした。
長い歴史を持ち、熱狂的なファンコミュニティーを世界中に抱える人気シリーズゆえに、批判が集まるのは致し方ないところではある。例えば1999年公開の4作目「ファントム・メナス」から登場したフルCGのキャラクター「ジャー・ジャー・ビンクス」は、ファンから「世界観を損なっている」と猛烈なバッシングを浴び、いまや「スター・ウォーズ史上最悪の嫌われキャラ」とまで呼ばれている。
だが、15年に始まるシリーズ最終3部作への批判は、それまでとは異なる色合いを帯びていた。ファンに紛れ、政治的、差別的な批判が目立つようになったのだ。
15年公開の7作目「フォースの覚醒」では、アフリカ系イギリス人俳優のジョン・ボイエガ氏が主要キャストに選ばれたことを理由に、白人至上主義者らがボイコットを呼びかけている。また「最後のジェダイ」の主要キャストとして抜擢(ばってき)されたアジア系アメリカ人女優、ケリー・マリー・トラン氏のインスタグラムには、人種、性別、容姿への差別的な中傷コメントが殺到。彼女は全投稿を削除せざるを得なくなった。
南カリフォルニア大学のモートン・ベイ博士は、出演者と同様に批判を浴びた「最後のジェダイ」監督・脚本のライアン・ジョンソン氏に寄せられた1273件のツイートから、批判の背景にある動機を探った。重複などを除いた967件のツイートを分析したところ、否定的なツイートは206件で、全体の21.9%を占めていた。