確かに日本ハムではダルビッシュ有や大谷翔平が満を持してメジャーに進み、楽天では田中将大は無理のない育て方をされ、熟した時期にシーズン24連勝を成し遂げ、堂々と海外へ渡った。吉田がメジャー志望か否かははっきりしないが、高卒投手を大きく育てるノウハウや実績がある球団こそ、ルーキーシーズンから勝ち星を期待できる投手向きなのかもしれない。だから江本氏は「巨人阪神のような目先の勝利を求められるチームでは、余裕のある育て方は期待できない」とも指摘する。

 一方で、「流しのブルペンキャッチャー」ことスポーツライターの安倍昌彦氏はプロで成功するためにスライダーを磨くことを求める。吉田は会見で「自信のあるストレートを磨きたい」と語っていたが、安倍氏は「バックスピンのかかるストレートの質はすばらしい。フィールディングや牽制もセンスがある。だがスライダーが弱い。腕の振りが緩く、曲げようと意識し、打者に『スライダーが行きますよ』と言わんばかりの投げ方をしている。プロのスライダーは“曲がるストレート”であることを覚えていってほしい」と注文をつける。

 また、安倍氏は「角度」にも注目する。

「ボールを押して投げているから、ボールに角度がない。だから体調が万全ではないときに捕まる。甲子園大会の決勝もそうだし、U18でもそうだった」

 いずれにせよ、プロに挑戦する吉田は、注目の的だ。会見で「どんなチームに行っても努力しようと思っています」と殊勝に語っていたが、ファンは、吉田が甲子園大会で見せた輝きをプロの世界でも保ち続けてほしいと願っているに違いない。(本誌・岩下明日香)

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