また、患者が学生の場合は校内で帽子を被ることを学校側に許可されないなどでトラブルになるケースもあるという。

 病気を隠し、日常的にウィッグを着用している子どもの場合、プールの授業や修学旅行などの学校行事に参加しづらいなどの悩みを抱える患者も多い。

 再発率も高く、5年で7割が再発する。再発のたび、その範囲や重症度が変化するのが特徴だ。

「脱毛の範囲もタイプも初発と再発で変わります。最初の発症時は一つだけの単発型だったのが、再発後は全頭型になったり、また次の再発では多発型になったりと変化します」(同)

 また、脱毛が止まって毛髪が生え始めたら「もう大丈夫」というわけではない。

「黒々と髪が生えてきて、一番いい状態になったときがまた再発が近づいている状態だったりしますので、安心はできません」(同)

 この病気で脱毛するのは黒髪だけ。黒髪は常に再発リスクがある。しかし、生えてきた髪が白髪でとどまっている間は再発リスクが低い。

 円形脱毛症は、命にかかわる病気ではないが、毛髪という本来備わっているべきものがない「器官喪失感」という状態は人としての劣等感につながってしまう。

 こうした状況で、患者が一人で悩みを抱え込むのでなく、患者会などで患者同士が経験を分かち合うことは社会的、精神的に追い込まれないためにも重要だ。

 近年、円形脱毛症でも自分らしく生きるために、自らの病気を隠さずに生活したいという人も多い。円形脱毛症患者が生活しやすい社会になるためにも、病気に対する正しい理解が進むことが望まれている。(ライター・石川美香子)

※週刊朝日2018年10月12日号