「チームを組むために、ゲーム時間などを自分でコントロールしにくく、仲間から戦力としてアテにされたり、自らいいところを見せようとして、いっそう離れられなくなっていきます。チャット機能など、仲間との関係を深める仕掛けも見逃せません。ゲームオーバーがない、獲得ポイントが何倍にもなる時間や期間を設定といった、いつまでも終わらせない、誘い込む仕掛けもオンラインゲームの特徴です。これがスマホでもできるため、場所も時間も問わずゲーム漬けになってしまうのです」

 一方、ゲームのなかでも一人でできるものや、複数でおこなってもオンラインでなければ、自分でコントロールしやすく、依存症にまで進むケースは少ないという。

 ゲーム依存で思い出されるのは、1980年代に家庭用ゲーム機が登場し、当時熱狂した子どもたちは「ゲームのやり過ぎでバカになるのでは?」「依存症になって、将来に影響が出るのでは?」と親から心配されたこと。当時はオンラインではなかったため、“ゲーム少年”は、依存症としてはとくに問題になるケースは少なく、墨岡医師は「理科系が好きで、今ごろはIT業界などで活躍しているのでは?」と述べる。

 オンラインゲームが普及した現代のほうが、ゲーム依存症のリスクが高いといえる。こうしたなかで墨岡医師は、とくにゲーム依存症に気をつけたい人がいるという。

「ADHD(注意欠如多動性障害)や自閉症スペクトラム障害(アスペルガー症候群など)といった発達障害の一部の人は、ゲームやギャンブルなどに非常に親和性が高い(はまりやすい)ことがわかってきました。もちろん発達障害の人すべてがゲーム依存症になりやすいわけではありませんが、ゲーム依存症の患者さんに発達障害に該当する人が多いことは確かです」

 子どもでも大人でもゲーム依存症が疑われる家族がいる場合、見て見ぬふりで避けるのではなく、まず「どれくらいゲームに費やしているのか」など、現状をチェックしつつ、「どんなゲームをしているのか」といった声かけをしてみてはどうだろう。

(文/近藤昭彦)