“フォークの神様”岡林信康の幻のデビュー曲が“発禁”になった理由 (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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“フォークの神様”岡林信康の幻のデビュー曲が“発禁”になった理由

連載「知新音故」

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小倉エージ週刊朝日#小倉エージ
1968年に「山谷ブルース」でデビューし、“フォークの神様”と呼ばれるようになった岡林信康

1968年に「山谷ブルース」でデビューし、“フォークの神様”と呼ばれるようになった岡林信康

岡林自身が「今まで発表してきた曲から、私自身の森羅万象を表現した」と語る『森羅十二象』(フジ/ディスクユニオン ONL11)。2枚組LP(同 ONLR11)もある

岡林自身が「今まで発表してきた曲から、私自身の森羅万象を表現した」と語る『森羅十二象』(フジ/ディスクユニオン ONL11)。2枚組LP(同 ONLR11)もある

 2015年以来、岡林単独の弾き語りツアーを活動の主体としてきたが、それこそ自身の“曲”と“歌”を顧みる機会になったのに違いない。今回の『森羅十二象』で編曲をゲストのミュージシャンに委ね、“歌”に専念したのも弾き語りツアーの経験が発端になったようだ。

 本作の幕開けを飾る3曲は、京都フィルハーモニー室内合奏団(井村誠貴指揮)との共演だ。そのうち「虹の舟唄」「モンゴル草原」は“エンヤトット”の集大成的アルバム『MADE IN JAPAN』の曲だ。

 前者は“狭い港に繋がれたままでは舟は朽ちていく”と大海への船出を呼びかけた歌。壮大なオーケストレーション、重厚なドラムスの響きが心を駆り立てる。岡林の歌も勇ましくたくましい。後者はモンゴルを旅した体験を歌った曲。叙情味あふれるフォーク調のメロディーで、雄大な光景が思い浮かぶ。岡林の歌は丹念で繊細。素直な感情表現が印象深い。

 もう一曲は、『セレナーデ』に収録されていた「ミッドナイト・トレイン」。ポップで軽快な演奏、サウンドをバックに伸びやかな歌声を聴かせる。

 続く2曲は、60~70年代のフォーク通で知られるアルフィーの坂崎幸之助との共演だ。「26ばんめの秋」は、農耕生活を送っていたころに発表した『金色のライオン』の収録曲。生ギター主体のフォーク・ロック調のリズミカルな演奏をバックに、枯れた味わいのある歌声を披露している。
「さよならひとつ」は12年発表のシングル曲。孫への思いを歌い、岡林の語り口もやさしい。

 本作の大きな話題の一つは、サンボマスターの参加だ。メンバーの山口隆が岡林の熱心なファンで、フェスなどで共演してきた。今回の「今日をこえて」「それで自由になったのかい」は、岡林のロックへの傾倒を明らかにした曲。はっぴいえんどとの共演、ことに70年の中津川フォークジャンボリーでの演奏は名演とされる。サンボマスター、とりわけ山口はそれを意識したのに違いない。

 前者はゆったりとした重量感のあるサウンド展開。岡林は慎重な歌いぶりで、ときにコブシまじりの演歌調にも。後者は、サンボマスターの持ち味のひとつ、スピーディーでパンキッシュなスタイル。爆音ギターが炸裂し、ベースやドラムスが跳ねる。岡林もワイルドなシャウトを交える。


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