少なからぬ企業がシリコンバレーなどに研究所を設けてアメリカ人の研究者を受け入れているとはいえ、失敗に対して不寛容という企業体質の転換はできるのか。どの企業の経営者も、その体質を何としても転換するのだと強調したが。もっとも、企業体質を転換できたとしても……。
実は、2015年の12月にオックスフォード大の学者たちと野村総研が共同研究し、10~20年後には、日本人の仕事の49%がAIに奪われる可能性があると発表した。
現在のAIは特化型AIで、囲碁では名人に勝てても、将棋やチェスはできない。つまり一つのことしかできないのである。それに対して、30年代になると、汎用AIが登場する。すると人間のようにいろんなことができるようになって、人間の仕事がAIに奪われるようになると危惧する学者や研究者が少なくない。さらに40~50年代になると、シンギュラリティーの時代、つまりAIがAIを創ることになって、人類の仕事の90%がなくなる、とアメリカの著名な発明家レイ・カーツワイル氏は指摘している。
もっとも、松尾氏は、産業革命で機械が仕事をするようになっても、人間の仕事はむしろ増えたように、新しい仕事がどんどん出てくる、と悲観的な捉え方はしていない。
いまや時代の寵児である落合陽一氏は、好きなことを好きなようにやればよい、それができる時代なのだ、と語っている。
※週刊朝日 2018年9月21日号