(c)さくらプロダクション/日本アニメーション
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 乳がんのため53歳で亡くなった漫画家のさくらももこさん。その早すぎる死に、日本中に大きな衝撃がかけめぐった。東京が激しい雷と豪雨に襲われた夜の訃報だった。

 代表作「ちびまる子ちゃん」で、まる子が大好きだった歌手は、山口百恵さん、西城秀樹さん、そして、「♪ウララ~、ウララ~」と、まる子がまねる描写が何度も登場した、山本リンダさんだ。

「アニメでコマーシャルに移るとき、まるちゃんが、毎回『♪ウララ~、ウララ~』って歌ってくれて。初めて見たとき、うわぁ、うれしい!って思ったことをよく覚えています。ずっとご活躍されていて素晴らしいなぁ、久しぶりにお会いしたいなぁと思っていたところでしたのに。本当に残念です」

 と山本リンダさんは、さくらさんを悼む。90年代前半の「第3次山本リンダブーム」の火付け役のひとつが、「ちびまる子ちゃん」だったと振り返る。

「当時、全国あちこちの小学校で、子どもたちがまるちゃんのように机の上にのぼって、シャツをまくって歌ったそうです。当時の若いママや子どもたちが私のことを好きになってくれたのは、まるちゃんのおかげです。本当にありがたいなぁって、いつも心の中には、ももこさんのことがありました」

 さくらさんの印象を、リンダさんはこう語る。

「ホントに、まるちゃんと同じでかわいらしくて。ふんわりとした優しい感じがいっぱいにあふれているような、そんな方でした。まるちゃんが『リンダ、リンダ』って言ってくださった思い出を大切にしながら、これからも私は歌っていきたいなぁと、そんな思いに包まれています」

 老若男女に愛されたさくらさんの作品。その世界観は単にかわいいだけではない。例えば、1990年の日本レコード大賞にも輝いた、B.B.クィーンズが歌った「おどるポンポコリン」をはじめ、さくらさん原作のアニメ作品の主題歌の作詞のほとんどがさくらさんで、内容はシュールでユニークで、“ももこワールド”全開のものばかりだ。

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