室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
(c)小田原ドラゴン
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 作家の室井佑月氏は、自民党総裁選での石破茂元幹事長と小泉進次郎衆院議員の動きに期待する。

【今週のイラストはこちら】「石破さん、進次郎さん、飛べ!」

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「飛ばない男、飛べない男といわれているが、やるときはやる!」と、パーティーの席で豪語していた岸田文雄センセだったが、やっぱり飛べなかったのね。

 センセはきっと、ニュージーランドにいるキーウィみたいな鳥なのですね。

 岸田さんは憲法9条改正に慎重だし、インテリだと聞いていたから、次の自民党総裁、安倍首相と真逆な感じ、というので期待していた。

 ま、当初から岸田さんは、目立たず騒がず、安倍首相からの禅譲を狙っているといわれていた。考えてみたら、そんな人の出番なんてないほうが良かった。

 勇気を持って安倍政権のおかしさを指摘できる人じゃないと。権力私物化、ルール無視の、安倍政権の総括をできる人。膿を膿だといえる人。

 勇気を持って、っていわなきゃいけないところからして、この国はおかしくなっているんだけどさ。

 もちろん、総裁選は自民党員・党友だけで行われると知っている。けど、カルトのような安倍首相の熱狂的ファンは、ネットなどで、安倍さん以外を落とすためのデマでもなんでも流すだろう。それに対抗するには、その他大勢の、多くの見張り役や、カウンターとなる声が絶対に必要だと思うのだ。

 安倍首相が簡単に圧勝したら、安倍一強がどこまでもつづいてしまいそう。なにしろ、長いものには巻かれとけ、という人々が大勢なのだ。この国の、あたしたちの、道徳観や倫理観はどこまでも壊れていく。

 この際、徴兵制は苦役ではないといいはる、石破さんの戦いぶりに期待するよりほかない。

 とりあえず国会で言葉のキャッチボールくらいできる人のほうがいいじゃん。それができないと恥ずかしいと感じる人のほうが。

 石破さんの惨敗が予想されているが、なかなかどうして、石破さんのあの目は、爪の鋭い猛禽類よ。総裁選を盛り上げ、多くのメディアの前で、安倍政権のおかしさを語りまくってくれると信じたい。爪痕を残してくれると。

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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